映画評:『ノーカントリー』監督:コーエン兄弟、原作:コーマック・マッカーシー 

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ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション
トミー・リー・ジョーンズ, ハビエル・バルデム, ジョシュ・ブローリン, ウディ・ハレルソン, ジョエル・コーエン;イーサン・コーエン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2008-08-08

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド アメリカン・ギャングスター フィクサー バンテージ・ポイント コレクターズ・エディション 大いなる陰謀 (特別編)

by G-Tools , 2008/10/04



コーマック・マッカーシーの原作、邦題『血と暴力の国』を読んでから見たけれど、原作と映画が全然違って大変ショックを受けた、ということはなかった。

元々この映画がアカデミー賞を獲ったという情報を持ってから原作を読んだから、小説を読んでいる最中、連続殺人犯の顔のイメージは、映画出演のハビエル・バルデムだった。あの顔のイメージが強烈だったから、原作と映画に違いを感じなかったかも知れない。

他のクライム・ノヴェルの殺人鬼と違い、殺人前にやたらと哲学的な問答をふっかけてくる彼のイメージとバルデムの演技はぴったり。何よりあの髪型がいい味を出している。殺人鬼は慌てふためきながら命を乞う獲物に対して、死を前にしても威厳を持てと言う。時代遅れの変な髪形で、威厳ある顔つきで街中を歩いている大人を見かけたら、気をつけようと思った。

川田亜子アナ自殺のニュースを知って、追悼 

元TBS、現在フリーとなっていた川田亜子アナウンサーが自殺したというニュースを仕事中ヤフーのニュースで見つけた。気にかけていたのでショックだ。川田アナがTBSを退社して、大手芸能プロ、ケイダッシュ所属になったというニュースをサイゾーで読んでいた。最近タレント化が著しい女子アナウンサー。ケイダッシュは、放送局所属のアナウンサーという固定観念を打ち破り、女子アナのタレント化に拍車をかけようとしていたところ。しかし、川田アナは本来的にタレントアナに似つかわしくないと思っていた。人は見かけで判断するなというが、可愛い路線の後輩たちに比べて、綺麗で上品な印象の川田アナは異質だった。

細木和子がテレビ各局からほされる前、『ずばり言うわよ』のTBS女子アナ特集に川田アナも出演していた。バラエティー番組出演時、後輩アナのいじめ役、厳しくてかつ悪い女の役をいつも強要されることに対して、川田アナは強いストレスを感じていたという。細木は、そういうのはなかなかできるものでないと言って、川田アナを慰めていたが、そんな様子も今思い出せば、退社、自立の伏線だったように感じられる。

30歳前後が、タレント化した女子アナの節目だろうか。次々とニュース原稿を読めそうもないタレント風の才女が入社してくる。発声法からしてアナウンサーというよりアニメ声優みたいな声を出して、バラエティの司会ばかり勤める後輩もいる。華やかさしか表に出てこない世界の裏には、少女マンガのごとき壮絶な競争と挫折が待ち受けている。

映画評『トランスフォーマー』 

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トランスフォーマー スペシャル・コレクターズ・エディション
シャイア・ラブーフ マイケル・ベイ タイリース・ギブソン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2007-12-19
おすすめ平均 star
star兵器的なリアルロボットを想像したのにイメージが違う
starこれほんとにおもしろい??
star目がぐるぐる
star映像スゴい
star現代の映像技術に、そりゃ圧巻される。

ファンタスティック・フォー:銀河の危機 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付・2枚組) ダイ・ハード4.0 (特別編/初回生産分限定特典ディスク付き・2枚組) スパイダーマンTM3 デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) (初回限定豪華アウターケース付) オーシャンズ13 特別版(2枚組) バイオハザードIII デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組)

by G-Tools , 2008/04/13



ハリウッドのアクション大作なんて見るのは、久々だ。同時多発テロ勃発以来久々。ただ、「トランスフォーマー」は宣伝で、ロボットが変形するシーンを見ただけで、絶対みたいと思っていた。ちょうど小学生の頃、テレビで『トランスフォーマー』のアニメが放送されていたし、コンボイとかおもちゃも買っていたし、CGが今までにないレベルにあったので、見たいと思った。

内容は子ども向け、親子向けの娯楽大作。ただ、日本のそうしたものと違い、かかっているお金の量が半端ではないというのはいたる場面で理解できた。政府機関のシーンや、軍隊と自動車とCG混じるアクションシーンは、他のアクション映画と変わらない、金のかかりよう。本気の映像であるというのが、画面から伝わってくる。高校生の男が主人公で、彼の恋愛エピソードも映画の中で描かれる。これはアニメじゃなくて、ハリウッドの、親が見ても楽しめる本気の娯楽大作なんだと実感。高校の頃、『ジュラシック・パーク』や『スピード』の第一作を見て感動したのと同じくらい、娯楽大作というジャンルに久々に圧倒された。

CGで描かれるロボットの造型、変形、アクション、どれもすさまじくハイレベル。見ると確実に世界最高レベルだと思える。これはSFだ。なのに、CGがリアルすぎて、リアリズム作品なんだと思える。リアリズム作品は、現実社会にない、空想の事物は出さない。けれど、トランスフォームするロボットたちがリアルすぎるからか、これはリアリズムなんだ、目の前に写っているのは、リアルなロボットだと思えてしょうがない。CGで作り出せたんだから、数年後、必ず現実化すると思えてくる。あそこまで変形しなくても、同じ大きさのロボットを、見世物として、現実に出現させるくらいは、人類実現可能なんじゃないか。ああ、もうリアルとバーチャルリアルの境界がわからない。

昔のSFは、未来の科学技術を描いて、人類社会を警告するというメッセージを持っていた。80年代近くから、世界中のSFは、日本のアニメを含めて、メッセージ性、社会性を喪失し、ギミックなり、フェティッシュなり、ディティールを愛するようになった。社会について考える作品から、マシーン、技術、物語の美しさを賛美する作品への転換。現代はSF以外の文学全般、経済全般にこうした事象が当てはまる。メッセージ性からフィティッシュへ。社会性から幼児性へ。フェティッシュ、幼児性の中に、人類の希望を見出す作品の萌芽を待って。

アメトーークスペシャル、徹子の部屋芸人 

毎週木曜日アメトーークを欠かさず見ている。昨日はゴールデン進出のスペシャルだったが、仕事のため、深夜のゴールデン延長戦のみ拝見した。

徹子の部屋芸人が面白かった。徹子は容赦なく芸人に相対する。そんな徹子のコスプレマル秘映像がよかった。黒柳徹子が、ナース姿になったり、おひな様姿になったりして、徹子の部屋をやるのだ。セーラームーン姿になったのもびっくりしたけれど、ヤマンバギャル姿も壮絶だった。

これからの木曜夜はテレビの時間が楽しみだ。

22時からフジのドラマ『ラストフレンズ』
23時は『アメトーーク』
24時は『怒りオヤジ』
その後はフジのアニメ『図書館戦争』

部屋に帰ってから、眠るまで、たっぷりとしたテレビ至福の時間。

最近は海外ニュースばかりしか見てこなかったけれど、売れている小説は、民放の雰囲気と似ていることがわかった。文学は海外ニュースの雰囲気と似ている。売れている本は、民放バラエティーの雰囲気と似ている。小説として読者に求められているのはどちらなのだろう。二つの異なるものを一つにする小説だろう。

木曜22時フジ・ドラマ『ラストフレンズ』長澤まさみ、上野樹里主演 

長澤まさみがみんなからいじめられる悲劇のヒロイン役。
誰にも言えない悩み、DV、妊娠、禁断愛というキャッチコピー。冒頭母親の愛人にセクハラ受ける長澤まさみ。主題歌は宇多田ヒカル。そんなテイストのシリアス恋愛ドラマ。

美容院で働く長澤まさみは、先輩女性店員にもいじめられる。関ジャニ錦戸亮演じる恋人のところに引越し。ラブラブな雰囲気で初回からキスシーンあり。しかし、翌日目を覚ましたら、恋人は長澤まさみの携帯電話を見ていた。高校時代の友人、今はバイクのレーサーをしている上原樹里からメールが来ていたけど、これ男だろと詰め寄られる長澤まさみ。22時55分頃には、関ジャニが長澤まさみに殴る蹴るの暴行を加える。やっぱり長澤まさみはコメディーやにこにこ笑顔のCMより、こうしたシリアスドラマで悲劇のやられ役を演じている方が、魅力的だと思った。『世界の中心で、愛を叫ぶ』を思い出させるくらいの、かわいそうで、せつない感じ。宮沢りえみたいな、近づきがたく露出控えめ、本格派女優路線で行ってくれたらいいのに。

暴行した後、関ジャニは長澤まさみに泣きそうになりながら謝る。このDV野郎。長澤まさみは、上野樹里の家に行く。「このころは私が世界で一番不幸だって思っていたけれど、あなたの方が辛かったんだね」という長澤まさみの回想独白入る。初回ラストは、眠っている長澤まさみにボーイッシュな格好した上野樹里がキスして終わり。そして宇多田ヒカルがプリズナー・オブ・ラブと歌う。2回目からもセクハラやら職場いじめやら同性愛やらDVやら、いろいろ昼ドラ的展開がいっぱいありそうで楽しみ。

それにしてもキムタクが総理役で主演するという月9は、春のドラマでありながら、5月12日、連休明けのスタートです。フジの春ドラマは編成に気合入ってそう。

火曜22時フジ系列『無理な恋愛』 堺正章主演、夏川結衣、チュートリアル、スザンヌ他出演 

2008年春期ドラマレビュー

火曜22時フジ系列『無理な恋愛』
堺正章主演、夏川結衣、チュートリアル、スザンヌ他出演

帰ってきてテレビをつけたら、堺正章とむっしゅかまやつがフジテレビに出ていた。あるあるが打ち切りになった以来で、特番か何かかなと思っていたら、どうもドラマみたい。堺正章の出るドラマって珍しいと思っていたら、どうも連ドラみたいな展開。これはびっくり。再放送で見る『西遊記』悟空役の堺正章とはまるで異なる、完全なおじさんというか、おじいさんキャラで連ドラ主演。

おじいさんと若い女性の恋。さんまと長澤まさみの組み合わせだとなんかいやらしくて見る気がしないけれど、堺正章と夏川結衣だと落ち着いていて、安心して見れる。高齢化、少子化は進展するから、こうした老年の恋愛ドラマはこれからももっと出てくるだろう。この世代に名優はたくさんいる。チュートリアルとかスザンヌとか、旬のタレントで脇を固めれば、見ていても面白い。

夏川結衣は昔から好きだ。眼の形とか、品のある表情とか、どことなく夏目雅子と似ているなと前から思っていた。よく考えると、堺正章と夏目雅子の組み合わせっていったら、『西遊記』。子どもの頃、夕方からの再放送で見ていた『西遊記』の三蔵法師は、めちゃくちゃきれいだった。芸能界の女優で、夏目雅子に雰囲気が一番似ている女優は、夏川結衣だと勝手に思っているのは私だけか。堺正章と夏川結衣の組み合わせは、『西遊記』へのオマージュだろうかと思案したりして。

『ザ・ノンフィクション 姉と弟のすすきの物語 ナミの家族再生計画』を見て 

4月6日日曜午後からフジテレビで放送された『ザ・ノンフィクション 姉と弟のすすきの物語 ナミの家族再生計画』を見た。広辞苑編集部は、キャバクラという言葉を広辞苑に乗せるかどうか会議でもめたという。審査員全員がキャバクラに行った事がないこと、キャバレーやクラブとの違いが明確出ないという理由から、キャバクラの広辞苑登録は見送られたというが、そんな茶番は抜きにして、番組では、すすきののニュークラブNo1ホステス、ナミにスポットが当てられる。

ちなみにwikipediaによると、ニュークラブはキャバクラと同意。札幌すすきのでは、キャバクラという言葉は、服脱ぎもあるセクシーパブをさすため、脱がないキャバクラという意味あいで使われているという。

札幌一の水商売地帯すすきのでナンバーワンホステスとなったナミは、母親もホステスだった。19歳のナミの弟は、すすきののヘルスの店員をしていた。家族三人がみな水商売の仕事という事実を知り、最近はごく普通の子が水商売をしている、昔みたいな偏見もなく、女の子たちは楽しんで仕事しているというステレオタイプが崩壊してきた。

両親はナミが幼い頃離婚した。弟は父側に預けられた。ナミの母は辛いホステスの仕事をして、ナミを育てた。父が再婚すると、弟は親戚の家に出された。養子としてでなく、使用人同様の扱いを受けた弟は、家出して、ナミと母の家にやってきた。家族に加えてほしいと懇願した弟に対して、娘を育てるだけで精一杯だった母親は、お前を育てる余裕はないと言った。母親に拒絶された弟の姿は、ナミの心にも強く残ったという。

なぜ夜の世界で働いているのか、質問されたナミは、母親へ復讐したい気持ちがあったかもしれないと答える。ナミは母の疲れ、苦しむ姿を見ていて、ホステスには絶対なりたくないと思っていたが、ホステスになった。夜の世界で働くと伝えた時、母親は泣いてやめろと言ったという。弟を捨てた母親の泣き顔が見たかったからホステスになったのかもしれない、それは詩的な表現だけれど、ナミの弟もヘルスで働いている。

一人寂しく暮らす弟のもとに、ナミから電話がかかってきた。数年ぶりにあった弟に、ナミは最大限の愛情を示して、優しくした。ずっと離れて暮らしていたから、弟はとても可愛いとナミは言う。

弟はすすきので成功した姉に続こうと、運営を任せられた店で、長時間働く。ビルの一番奥にある弟の店には、客がなかなか来ない。売上目標達成のため、弟は必死で客を呼びこむ。ある時、店の女の子が泣きながら控え室に入ってきた。こうしたことはよくあることだという。赤いチェックのミニスカートをはいた女子高生風の女性は、ヘルス嬢である。ヘルスでは膣内挿入はないが、一般的に男性客の射精をいざなうサービス業である。弟に声をかけられた彼女は、怖かった、怖かったけど仕事しなきゃいけない、誰もわかってくれない、と言いながら泣いていた。

風俗嬢やAV女優が感じる恐怖は、あまり表立って語られることはない。語りあう場がないから、仕事中感じた恐怖やストレスを自分ひとりで抱えやすくなってしまう。弟は親身になって世話していた。女性従業員の入れ替わりの多いこうした仕事では、従業員への面倒見のよさが、大切な資質なのだという。

番組では、ばらばらになった家族が、よりを戻していく過程が描かれていた。それは近代的なドラマ構築だったが、ホステス嬢の生育背景に踏みこんで、なぜ彼女がホステス嬢となったのか、彼女の周囲にはどういう人々の歴史があるのか、古典的手法であぶりだしていく番組作りに好感が持てた。弟と仲直りしようと母が話しかけるのだが、弟は一度も母と視線を合わせようとしなかった。現代的な家族ではよくある光景だろうが、ここには、離婚、離れ離れになる子ども、生活苦といった問題が重なってくる。