書評:『2大RPGの分岐点ードラゴンクエストとファイナルファンタジーの軌跡』 

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二大RPGの分岐点―ドラゴンクエストファイナルファンタジーの軌跡
岡部 麒仙
講談社出版サービスセンター 2007-11
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by G-Tools , 2008/04/22



ドラゴンクエストとファイナルファンタジーが、シリーズを通してどのように変化発展してきたのか。二大RPGの違いは何なのかをまとめた批評本。ゲームに関する本は、攻略とか宣伝ものが多く、こうした批評本は希少なため、大変役に立った。

さて、僕は今までストーリーはドラクエの方が上、FFはグラフィックがどんどんすごくなっていったと思っていた。それは両シリーズのIからVまでを比較しての話で、FFはVI以降、ストーリーも、ドラクエとは全く別の方向に発展した。すなわち、魔王退治よりも、主人公たち登場人物の心の内面を描く方に重心が置かれだしたのである。世界の幸せよりも、主人公たちの内面の葛藤に焦点をあてる。そのうち大魔王はおまけにすぎなくなり、自分自身の実存的問題の解決が中心になっていく。確かにドラクエもV以降魔王討伐よりも、主人公の出生の秘密を探ったり、自分探しがテーマになっていったのだが、FFでは圧倒的にその傾向が強いのだ。

主人公の過去をテーマに暗く精神的なドラマが展開される。VIIはその最たるものであるという。なんだかこれはエヴァンゲリオンと似ていると思った。エヴァなど「セカイ系」と呼ばれるサブカルチャー作品群は、世界の救済と自分個人の実存的救済がイコールの目的となる。エヴァンゲリオンにおいて顕著に見られた現象でなく、当時はFFも、何もかも、こうした物語創りが行われていたのだ。最早完全な悪が社会にないのは明白で、正義とは何か、誰を信じていいのかわからない孤独な時代の物語はこうなる。

FFXも主人公の過去、父親との対立をめぐる物語展開が、非常によかったと記憶している。世界を破滅に導くラストボスが父親であるFFXは、父殺しの物語である。FFはVI以降、村上春樹っぽくなった。

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