マンガ史上最高のサスペンスと評価される『MONSTER』の次に描かれたSFサスペンス。『MONSTER』はハリウッド実写映画化決定で騒がれたけど(まだ映画は完成しておらず)、『20世紀少年』は日本で映画化された。『MONSTER』映画化が決定された当時は、ハリウッド映画化に価値があったけれど、今やハリウッドの権威は落ちたし、日本で制作された映画でも世界中で公開されるから問題ない。
『MONSTER』は謎だらけの中盤まで最高に面白かったが、『20世紀少年』の連載が始まって面白くなくなってきた。『20世紀少年』もまた謎が謎の上にかぶさる中盤まで面白かったが、次作『PLUTO』ガ始まったらつまらなくなった。『PLUTO』は最後まで最高の作品であって欲しいけれど、謎と伏線を膨大に広げ過ぎる作風が変わらないと、無理そうでもある。まあ人気作品の連載中に次作が始まって、人気が衰える前に次作の人気も高まるというのは、出版社にとっても作者にとっても商業的には成功だろう、たとえ作品のラストがつまらなくなっても。
映画化が決まったせいか、駅のキオスクやら書店店頭やらに「ともだち」のあのマークが出ている。24時間テレビの募金箱にまで「ともだち」の不気味なマークが書かれているのをみると、空恐ろしい。
『20世紀少年』はオウム的新興宗教、カルトの恐怖を漫画化できた点が、とても評価できる。『ともだち』の組織が持つ思考麻痺的恐ろしさがあそこまで漫画化されているのに、映画の宣伝では、新興宗教批判めいた点は一つも言及されない。24時間テレビに「ともだち」のマークが書かれた募金箱を持って、主役の唐沢敏明以下が出演した。徳光に聞かれて、唐沢が物語のあらすじを話した。預言の書にはふれたけど、カルト批判の作品ですとは言わなかった。これぞ巧妙な宣伝戦略というものである。
カルト批判と大々的に打ち出すと、なんだか真面目くさくって、社会派っぽくて、エンターテインメントとして宣伝できない。ほぼ同時期に映画化された『デトロイト・メタル・シティ』も、原作ではあれだけシモネタが連発されているのに、シモネタに言及する宣伝は皆無だった。声を上げて言うと問題ある、作品の確信的テーマは隠されて宣伝される。
もちろんカルト批判要素は作品が持っているテーマの一部に過ぎないけれど、『20世紀少年』の漫画史的価値は、新興宗教の問題を取り上げたことだと思う。タブーを描く勇気。タブーだから、大々的に宣伝できないけれど。