バルザックが千人いる〜「I 言語ゲーム」(3-3)
先日タイトルを改めた連載小説『バルザックが千人いる』ですが、ただ今連載中の章の表題を「言語ゲーム」にすることに決めました。突然で申し訳ありませんが、生もののウェブ連載企画なので、何卒ご了承下さい。次章の表題は「権力への意志」とする予定です。
連載小説『バルザックが千人いる』
I 言語ゲーム
3-3
「『ヌーヴェル・バルザック』の舞台は、現代の東京です。東京都の街並みをそれこそ文豪バルザックの描写のごとく、3DCGで忠実に再現しています。プレーヤーはバルザックの小説内で活躍した二千に渡る登場人物のごとく、ネット上の東京都で、一人の人間として、生を得ます。現実よりも現実的な超現実の空間で繰り広げられる第二の人生をお楽しみ下さい。」
エルは製作者が書いたゲームの説明文を黙読した。説明文の下には、ゲームプレイ中の様子を写すCG画像が何枚か貼られていた。
渋谷のセンター街でたむろする若者たち、秋葉原でコスプレしながら路上で踊るオタクたち、丸の内らしきオフィス街で昼食のサンドイッチを買って、公園を歩くOL、奥多摩らしき大自然の中でマウンテンバイクを駆ける男たちの画像が、エルが今まで見たどのCG画像よりも写実的に描かれていた。どの場面も人物描写はおろか、街並みの描写がニュースやドラマの映像で見かける現実の街そっくりで、バルザック並みの細密さで東京が再現されているといううたい文句はあながち嘘ではないとエルは判断した。
オナンはこのゲームをプレイしているのではと推測したエルは、無料という言葉につられ、ログイン用のIDだけでも登録してしまおうかと思い立ったが、すぐに行動するのはやめて、しばし考える時間を持つことにした。もしここでログインして、すぐにオナンと出会えたとしても、オンライン上に出現したオナンと名乗るCG画像が、オナン本人とは断定できないと推測したためであった。
エルは子どもの頃、家庭用テレビゲームなら同年代の友人たち同様遊んだことがあったが、パソコン上で、しかも複数のプレーヤーが参加するオンラインゲームを遊んだことはなかった。オナンもゲームマニアというほどでなく、「ドラクエ」や「FF」などを人並みにしかやったことがないはずだから、オナンが「ヌーヴェル・バルザック」をプレイしているとは、にわかには信じられなかった。
オナンはもう会社で自殺したはずなのだから、あれこれと推測して心を煩わせるのはやめにしようと決めたエルは、パソコンとテレビの電源を落とし、部屋の照明を落としてから、キース・ジャレットのCDをかけた。背筋を伸ばしてパソコンのキーボード作業による体の変形を解除した後、エルは日課として繰り返していたヨガを始めた。
…本作品の主要参考文献は「続きを読む」で閲覧できます…
- [2008/10/07 00:41]
- 小説:テーマ「社会理論のシミュレーション」 |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- Permanent URL |
- TOP ▲
無差別殺人と極刑のイマージュ(5)
僕の大学時代の友人でダンスカンパニーに所属した男が、今度主役をやるという連絡が来ました。(パパ・タラフマラ公演『ガリバー&スウィフト』)
ダンスをやりたいという話を聞いた当初は、何を突然そんな無謀な選択をと思いましたが、今思えば彼の選択は最適であったのだなと感じます。まあ主役を張るまでになったから過去の選択が美化されるのですが。僕も力を抜いて、無差別殺人と極刑の小説を書かないと。
連載小説『無差別殺人と極刑のイマージュ』
5
郵便ポストに鎖で縛り付けられた初日、郵便局員は一度しか僕の元に訪れなかった。
陽が落ちてくると、帰宅する人でまた改札前が混雑してきた。
僕はひっそりと尿を出した。
尿は郵便ポストを伝わり、歩道に流れ落ちた。
終電も終わった真夜中に、僕は脱糞した。
わずかばかりの糞が歩道の上に落ちた。
鎖で身動きできない僕は排便の後処理もせず、目を閉じて、眠った。
翌日からも、同じような日々が続いた。
郵便局員は毎日一回郵便物の回収に来た。
郵便ポストに張り付く僕を気味悪がって、郵便物を出す人はいなかったから、袋の中に郵便物は一通も入っていなかった。
毎日別の郵便局員がやってきた。
初日に現れた自信に満ち溢れた男はそれきり来なかった。
僕を見て怯える者が多かった。
僕と目をあわさず、作業を進める者がほとんどだった。
彼らは郵便袋の中身を確認した後、コンビ二に寄り、僕の食糧を買ってきた。
おにぎりかパンが一つと、ペットボトルが一本。
毎日違う種類の組み合わせだったが、僕に与えられた食事は一日一回と決まっていた。
多くの通行人は僕のことを気にしなくなっていた。
僕も毎日この場所を通る人が、同じ顔ぶれであることに気づき始めた。
ある日、郵便物の回収に来た職員が、大きな封筒を抱えた太っちょのおばさんに呼び止められた。
太っちょのおばさんは性的魅力を人前に振りまくことを諦めており、化粧も服装も地味だった。
「あなた、ちょっといいかしら? 郵便局の人でしょ。こいつ、一体何なの?」
おばさんは僕のことを指差しながら、郵便局員に問い詰めた。
「下半身裸で、ほら、見てみなさいって。郵便ポストの下に大便やらなんやら、汚くて臭いし。何なのこれ? 掃除したらどうなの」
「大変申し訳ございません。今すぐきれいにします」
郵便局員は頭を深く下げてから、走ってコンビ二に行った。
大きなビニール袋を数枚手にして戻ってくると、彼はビニール製の手袋をはめて、歩道の上に散らばっていた僕の糞を拾い始めた。
太っちょのおばさんは彼が清掃する様子を両腕を組んで眺めていた。
「ほんと臭いから、水できれいに洗い流してよ」
「はい、大変申し訳ありませんです」
彼はまたコンビ二に走って行き、ビニール袋を持って戻ってきた。
地面にミネラルウォーターをまいた後、体臭を消すための消臭スプレーを歩道のアスファルト上に撒いた。
「これでご満足いただけましたでしょうか」
彼は笑顔でおじぎしながら、太っちょのおばさんに言った。
「満足するわけないじゃないの。これから先どうすんのよ。こいつまた汚物撒き散らすんでしょ。どうにかならないの」
「大変申し訳ございません。すぐにトイレを用意しますので」
「すぐにとか行ってどうせほったらかしにするつもりでしょ。待っててやるから、さっさとトイレ用意しなさいよ」
「はい。大至急手配してまいります」
彼は配達用のバイクに乗ると、エンジンを吹かせて走り去った。
太っちょのおばさんは僕の前に仁王立ちしていた。
僕はおばさんを眺めた。
おばさんは大事そうに大型の封筒を手で抱えていた。
「あんた、テレビに出てた殺人犯でしょ」
「違う。僕は、殺しはやってない。僕は誤認逮捕された」
「ふざけるんじゃないよ。このうんこたれ」
太っちょのおばさんは上からの目線で僕をさげすんだ。
郵便局員がバイクに乗って戻ってきた。
「こちらでよろしかったでしょうか」
彼は子ども用のアヒル型おまるを持っていた。
「いいから、ちゃんとおいておけよ」
「はい。かしこまりました。ただいま準備させていただきます」
郵便局員がポストの下におまるをおいた。
「もうちょっと右だろ、アホが。ちゃんと肛門確認しろよ」
「はい、ありがとうございます」
しばらく右だ左だというやりとりが続いた後、おまるの位置が定まったようで、騒ぎがおさまった。
「ご満足いただけましたでしょうか」
「最初から準備しときゃよかったんだよ。手際が悪いね、あんたらは本当に」
「申し訳ございません。お叱り痛み入ります」
「それにしても、見苦しいね、こいつの格好」
太っちょのおばさんは、僕の全身をねっとりといやらしい目つきで眺め回した。
- [2008/10/07 00:07]
- 小説テーマ:「虐待と監禁」 |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- Permanent URL |
- TOP ▲
書評:ラクー=ラバルト『ハイデガー 詩の政治』西山達也訳(藤原書店、2003年)
帯の引用。「ヘルダーリン/ハイデガー、ベンヤミン、アドルノ、バディウを読みぬき、哲学=翻訳=演劇の問いの交点に立つラクー=ラバルト哲学の到達点。ハイデガー研究に大転換をもたらした名著「政治という虚構」から十五年、ハイデガーとの対決に終止符を打つ、その後の思考の深まりの軌跡」
秀逸だったのは、「エピローグ 国民社会主義の精神とその運命」。20世紀最大の哲学者の一人と目されるマルティン・ハイデガーは、ナチスの国民社会主義政権に協力的な時期があった。ハイデガーのナチス協力問題について最も的確に語った本が、ラクー=ラバルトの「政治という虚構」だったが、この章でもファシズムと、ハイデガー及びドイツ哲学の関連性が語られる。
ラバルトによれば、国民社会主義とはドイツロマン派から連なるドイツ歴史精神の結実だった。隣国フランスが打ち立てた国民国家、近代の普遍的概念に対して、後発近代国家のドイツは、ロマン主義で対抗する。ドイツは自らの民族的起原をヨーロッパ文明の源流と目されたギリシア・ローマ文化に求め、フランス流の普遍的近代精神に対して、古代に対する憧れを併せ持つ、ロマン主義の精神で対抗した。芸術はドイツ民族を統合するために役立つ。その頂点に立つファシズムとは、「政治の美学化」であり、ナチズムとは、「総合芸術」としての政治であるという。
ハイデガーは退廃した近代的政治に対して、プラトン的国家の理想、さらに遡っては、古代ギリシアにあった原・政治の復興を願った。ヒトラー率いるナチスは、ハイデガーが夢見た始原の政治を取り戻すように最初は見えたのだが、ハイデガーはすぐに失望し、以後敬虔なキリスト教徒的哲学者となる。理想化していたナチスが実は醜悪な戯画でしかないと分かった後も、ハイデガーは詩人の中の詩人、ヘルダーリンの詩の精密な解釈を通して、原・政治的なものに迫っていく。この書ではとりわけ、ヘルダーリンの詩の解釈が考察される。
プラトン以降の全哲学を疑ったハイデガーの哲学は、ニーチェと並んで20世紀哲学の源流となったが、ニーチェもハイデガーもナチス、あるいは独裁、あるいは全体主義と関係していたことが、後の思想家にとって迷い道になった。ドイツ哲学のもう一つの巨人、マルクスの思想も、密告と制裁渦巻く全体主義国家を生み出してしまい、哲学は、消費社会と娯楽にその権利を譲った。ラクー=ラバルトの思想はハイデガーを批判するが、否定も忘却もしていない。
ハイデガーは、ギリシア哲学の始まりはすばらしかったのに、プラトン移行ひたすら歪んで行ったとするが、フーコー、デリダなどは、そもそもの始まりの一点を「始原の暴力」として懐疑・批判する。最初に打ち立てられた恣意的な決定、暴力的な取り決めが、何千年という人間の歴史を規定してきたと考察するのが、現代の哲学である。
- [2008/10/06 23:09]
- 書評(人文科学) |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- Permanent URL |
- TOP ▲
バルザックが千人いる(3−2)
己が生きている証として、己の生の鏡として、己の主観を客観化して提示する作品を打ち立てること、そのような近代的芸術観にそって、この小説は書かれています。
連載小説『バルザックが千人いる』(3−2)
エルは管理画面に戻り、新着記事を書くことにした。記事ではアブジェクシオン総合研究所のことには触れず、電車に乗った時、自分の両隣に座っていた男女が、同じパズルゲームを遊んでいたことを話題にした。その後、オナンからメールが来たことにも触れず、大臣の暴言に関する自分の意見を書き留めた。
続いてエルは、毎日書き綴っている書評を書くことにした。エルは読み終わった書物の書評を必ず書いていた。有る程度体系的に書評をまとめようと考えたエルは、プラトンによるソクラテスの対話篇から初めて、アウグスティヌス、デカルト、カント、ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ハイデガー、フーコー、ドゥルーズ、デリダ、スピヴァクと西洋哲学の歴史を紐解くようにして書評を書いていった。
書評を書くために、エル自身教養として書名と要点のみ知るだけで、実際読んだことのない書物を読んでみると、新しい発見があり、こうした機会でもなければ、古典を読むことも無かっただろうと思えた。そのうちエルは人文系だった自分の知的限界を超えるため、現代物理学や数学、生物学の一般向け教養書籍も手にとって、書評を書くようになった。
今日エルは、一昨日読み終わっていたドゥルーズの『差異と反復』についての書評を書いた。エルにとってドゥルーズこそは、人文科学と自然科学の領域を超越した、というか両者に共通する概念を取り扱う、二十一世紀の学問を先取りした哲学者だった。
差異と反復の概念と複雑系の学問の類似性を指摘した後、エルは書評記事をあげて、ブログの管理画面を閉じた。
ブラウザ上には、インターネットのホームに設定している検索サイトの検索キーワード入力画面が開かれた。エルはふと、オナンのメールに書かれていた「ヌーヴェル・バルザック」という言葉を検索してみようと思い立った。
エルはキーワード入力欄に「ヌーヴェル」と入力した後、半角スペースを空けて、「バルザック」と入力した。検索ボタンを押すと、画面上に入力されたキーワードによる検索結果、八千件のうち、最初の十件の概要が表示された。
検索結果の先頭に「無料オンラインゲーム ヌーヴェル・バルザック」と表示されていた。その下には、ヌーヴェルバーグやバルザックに言及したサイトがいくつか続いていたが、ページをスクロールすると、先程のオンラインゲーム「ヌーヴェル・バルザック」に言及したサイトが並んでいた。
エルは検索結果先頭に表示されているのは、オンラインゲーム制作会社の公式サイトだろうと判断し、「無料オンラインゲーム ヌーヴェル・バルザック」と書かれているリンク先のページを開いた。
エルはオンラインゲームだと聞いて、近代フランスを舞台にしたファンタジー色の強いアニメ調のCG画像が並んでいるかと思っていたが、リンク先のページには、現代の新宿都庁前らしい高層ビルと緑木の街並みが、3Dフルポリゴンの精密なCGで再現されていた。
…本作品の主要参考文献は「続きを読む」で閲覧できます…
- [2008/10/06 00:35]
- 小説:テーマ「社会理論のシミュレーション」 |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- Permanent URL |
- TOP ▲
無差別殺人と極刑のイマージュ(4)
同時連載中の「バルザックが千人いる」とは随分異なった文章のスタイルですが、「無差別殺人と極刑のイマージュ」と「バルザックが千人いる」は、同じ一つの東京という街でほぼ同時に起こった事件を描写していると考えながら、連載を進めて行くことにします。そうする方が、なんとなく楽しそうだから。
連載小説『無差別殺人と極刑のイマージュ』
4
郵便ポストに縛られてから何度改札の混雑を見た後だろう、僕の後ろでバイクが止まる音がした。
郵便局の制服を着た若者が僕の前にあらわれた。
彼は僕に怯えるわけでなく、非常に落ち着いている目で、僕をまっすぐ見据えた。
僕も彼を冷静に見返してやった。
「郵便物でも取りに来たのか。鎖で縛られているから、ポストの扉は開かないぞ」
「余計な心配はしなくていい」
彼はポケットから鍵の束を取り出すと、ポストの正面にある鍵穴に鍵をさした。
彼が鍵をひねると、ロックが外れる金属音が響いた。
僕は首と頭まで鎖で固定されているため、よく見えなかったが、彼は郵便物がつまった袋をポストの下の方から取り出した。
鎖が外れたり、郵便ポストの外側の壁がずれた形跡はないから、ポスト最下部から袋を下に落としでもしたのだろう。
彼は袋の中身を持って、バイクに戻ると、すぐまたポスト正面に帰ってきて、袋を元に戻し、鍵を閉めた。
「腹が減ったろう。昼食の時間だ。ちょっと待ってろ」
彼はそういい残して、駅前ロータリー脇にあるコンビ二に歩いて行った。
二分程して戻ってきた彼は、小さなビニール袋を手に持っていた。
彼はビニール袋からおにぎりを取り出すと、包装ビニールを手際よく引きぬいた。
「食え」
彼は僕の顔の前におにぎりを持ってきた。
僕が食べないでいると、彼は僕の口におにぎりを突っこんできた。
僕は歯を食いしばって抵抗しようとしたら、彼が僕の頬を平手でぶってきた。
「何を片意地はってるんだ。食べなければ死ぬぞ」
僕の気が抜けた瞬間、彼はおにぎりを持った手を僕の口の中に押し込み、僕に無理矢理おにぎりを食べさせた。
僕は仕方なくおにぎりを食べた。
彼はビニール袋からウーロン茶の入ったペットボトルを取り出し、ふたを開けた。
「飲んでおけ」
彼はペットボトルを僕の口に突っこんできた。
僕は飲む気などなかったが、冷たいウーロン茶を飲み干した。
彼は満足した表情で、空になった小型のペットボトルをビニール袋の中に戻した。
「何か困ったことはないか」
「拳銃で撃たれた箇所が痛い。治療して欲しい」
「わかった。応急処置してやるから、ちょっと待ってろ」
「トイレにも行きたい」
「排泄行為はそのまましろ」
彼は歩いて僕の視界から消えた。
五分程して、彼が戻ってきた。
彼はまたビニール袋を持っていた。
彼は僕の血だらけのズボンと下着を脱がした後、ビニール袋から 二リットル入りのペットボトル三本を取り出した。
彼は僕の頭から全身に水を浴びせかけた。
郵便ポストも僕と一緒に水に濡れた。
続いて彼は、ビニール袋から消毒薬と脱脂綿を取り出し、僕の傷口を消毒していった。
消毒薬のしみた脱脂綿が傷口にあたると、激痛が走ったが、僕は痛みをこらえた。
奇異の目で僕を見つめる周囲の視線に慣れたが、僕は自分が怯え、弱っている姿を駅前の通行人に見られたくなかった。
彼は注射を取り出し、僕の下半身の血管に刺した。
麻酔薬でも入っているのだろう、僕の下半身の感覚がなくなっていった。
「痛むだろうが我慢しろ」
彼はピンセットを僕の顔の前にかざして微笑んだ後、しゃがんで何かしら作業をした。
股間に何度も訪れる激痛を耐えているうちに、彼が立ち上がり、血まみれのピンセットを僕に見せた。
ピンセットの先には銃弾が挟まれていた。
「感謝しろ。お前のような重罪人に温情を与えたこの俺を」
彼はそう言ってピンセットを僕の口元に運んだ。
「ありがとうございますと言え」
僕の鼻の前にピンセットが構えられた。
血の匂いが僕の嗅覚を刺激した。
「断る」
彼は僕の口の中にピンセットを入れた。
「俺に感謝しろ。銃弾をお前の胃の中に落とすぞ」
「断る」
僕はピンセットが口の中に入ったまま答えた。
彼はピンセットを挟む手にこめていた筋肉の力をほどいた。
それを感じた僕は息を強く吐いた。
血まみれの銃弾が僕の口から出て、彼の顔に当たり、歩道の上に落ちた。
「応急処置は終わりだ。次の巡回まで大人しくしていろ」
彼は僕の傷跡に包帯もまかず、バイクに乗って走り去った。
僕はズボンも下着も降ろされたままだった。
鎖でポストに縛り付けられているので、性器はポストと密着して見えないだろうが、お尻は公衆の目にさらされていた。
- [2008/10/06 00:05]
- 小説テーマ:「虐待と監禁」 |
- Trackbacks(0) |
- Comments(0)
- Permanent URL |
- TOP ▲




